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純白に輝く
KG-2 6805m
Lopchin Feng
(従来の地図高度6708m)
2009年初登頂
2003年撮影
阿扎氷河(Ata Glacier)にて

 ご挨拶

 神戸大学長  福田 秀樹


 神戸大学は国際都市神戸にある国立大学として、アジア、中南米、オセアニアを中心とする経済研究、東南アジア一帯の医学調査研究、中国、ロシアなどにまたがる地質学研究など、これまで多くの足跡を世界各地に残してきました。

また、登山と探検の歴史も古く、南米パタゴニア、チリ・ボリビアアンデス、カナダユーコン、カラコルム、チベットなどにおいて輝かしい成果をあげてきました。特に1986年、神戸大学チベット学術登山隊は、当時未踏峰では世界第2位の高さを誇っていたチベット自治区内にあるクーラカンリ峰(7554m)の初登頂に成功し、多くの学術成果をあげました。

この成功を機に、神戸大学と中国の登山・学術交流を発展させてきました。1988年には中国地質大学(武漢)体育部と神戸大学山岳部との合同で、四川省のチェルー山(6168m)初登頂に成功しました。

このような背景のもと、このたび神戸大学山岳部・山岳会は、再び中国地質大学(武漢)と合同で、中国チベット自治区にあるカンリガルポ山群に学術登山隊を派遣することとなりました。同山群のある地域はインドおよびミャンマーとの国境に近く、外国人の立ち入りが厳しく制限されているため、これまでほとんど探検隊や登山隊が入っていない数少ない未探検地域であります。2003年に神戸大学は世界で初めてこの山群に登山隊を派遣し、最高峰ルオニイ峰(6884m)の登頂を目指しましたが、悪天候に加え非常に困難・危険な山容のため登頂断念を余儀なくされました。

この山群に学術登山隊を送ることは登山はもちろんのこと学術上も大きな成果が期待されます。加えて登山を通じて日本と中国の学生が交流することは日中友好に果たす役割も少なくないと考えています。
 神戸大学といたしましても、このたびの計画を全面的に支援して、大学の歴史に新しい1ページを飾りたいと願っております。本計画に格別のご支援を賜りますようよろしくお願いします。成功を願って止みません。


◆ 学術登山隊・実行委員会
☆遠征実行委員会 組織

委員長 山形裕士   神戸大学大学院農学研究科 教授 神戸大学山岳会会員

委員  乙藤洋一郎   神戸大学大学院理学研究科 教授 神戸大学山岳部部長
委員  井上達男     神戸大学山岳会会長
委員  山田  健     神戸大学山岳会事務局長
委員   高田和三 河本卓生 金井良碩 緒方俊治 居谷千春 大竹口誠治 香山博司 木南晴太  
        以上、 神戸大学山岳会会員
顧問  平井一正     神戸大学名誉教授 元神戸大学山岳会会長 元神戸大学山岳部部長

◆ 未知への挑戦 --崗日嗄布山群--
 地球最後の秘境といわれている東チベットの崗日嗄布山群(カンリガルポ Kangri Garpo)は全長280kmに及ぶ大きな山脈で2003年に神戸大学が試登した若尼峰(ルオニイRuoni 6900m)を筆頭に6000m峰が少なくとも30座存在するが全てが2008年現在未踏のまま残されています。
 2007年秋には阿扎氷河(Ata Glacier)の3姉妹峰に中国地質大学と合同で偵察隊を派遣し、山脈の最高峰群、阿扎氷河山姉妹峰の高度と登山ル-トを明らかにしました。
 2009年はいよいよ本隊を派遣してアタ氷河の三姉妹峰の一つ、中央峰KG-2(6650m)の登頂と周辺地域の学術調査を実施する計画です。
 また、今日まで解明されていない主峰ルオニイの登頂ル-ト発見も期待されます。
若尼峰(ルオニイRuoni 6900m)
別名 白日嗄(Bairiga)
 

◆ 崗日嗄布山群の学術的価値
 崗日嗄布山群はインドアッサム地方の東北、ミャンマ-の北の中国チベットに存在する。大ヒマラヤ山脈の北部チベット高原を西から東に流下するヤル・ツァンポ-川が大屈曲点にて南下しブラマプトラ川がとなるヒマラヤ山脈の東に位置する。高度2000mの亜熱帯気候から垂直に6900mまで標高が高くなり寒冷地となる自然環境の変化フィ-ルドサイエンスの宝庫といえます。また、ベンガル湾から湿った気流が流れ込み拉古氷河(Lhagu)や阿扎氷河(Ata )のように大きな谷氷河が発達する降雪量の多い山脈は乾燥地帯であるチベットでは特異な存在でもあります。インド大陸がユ-ラシア大陸に衝突してヒマラヤ山脈や横断山脈を形成したその大陸変形(*1)のメカニズムを世界に先駆けて神戸大学が古磁気により解き明かした現場もこの地域にあります。
 学問が切り口を変えて次々に未知を認識しそれを解明して発展していくように、8000m、7000mの未踏峰が登られてヒマラヤ登山が終わったと世間に謂われている今日、6000mの未踏峰が少なくとも250座は存在すると思われているヒマラヤの東は我々が対象としている崗日嗄布山群を含めてまだまだ未知の地域であります。
 神戸大学のパイオニア・ワ-クを実践する未知の地域としてその魅力は尽きません。
注記(*1) 大陸変形については乙藤洋一郎教授のHP参照
http://www.research.kobe-u.ac.jp/fsci-marine/member/otofuji/otofuji.html 

崗日嗄布山群概念図(クリックで拡大)

◆ 登山計画概要
☆登山対象 KG-2(6650m)  阿扎氷三姉妹峰中央峰
☆期間 2009年10月10日 日本出発 約45日間
☆登山隊員  神戸大学 7人  中国地質大学 8人
☆アプロ-チ ラサより車にて拉古(Lhagu)入山 拉古よりヤク輸送一日でBC
☆日本側予算 1200万円-

登山隊計画詳細 
登山ル-ト図(クリックで拡大)

◆ 寄附のお願い
☆寄附は随時受け付けております
☆一口 5000円
☆振込先

 
ゆうちょ銀行 神戸店 振替口座 00970-5-155993

 神戸大学中国地質大学合同カンリガルポ山群学術登山隊実行委員会
 カナ名 「コウヘ゛タ゛イカ゛クチュウコ゛クチシツタ゛イカ゛クコ゛ウト゛」


◆ 連絡・問い合わせ
本学術登山隊に関するご質問、ご要望、ご意見などは下記アドレスへe-mail願います。
☆e-mail: kangrigarpo@acku.net (神戸大学山岳会崗日嗄布山群遠征隊事務局)
☆e-mail: acku_office@acku.net   (神戸大学山岳会事務局)