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山岳会の皆様へ 


猛暑お見舞い申し上げます。こまめに水分補給をお願いいたします。

7月8日付け、朝日新聞朝刊の「ひと」欄をご覧になりましたか。亀高素吉という何と82才の老人が、北里大学から薬学博士を取得したという記事が、写真入りで紹介されております。この亀高さんは元神戸製鋼所会長で、神戸大学経済学部を卒業した我々の大先輩で、過去の我々の遠征資金面でもお世話になった方です。一時期、凌霜会の役員もやっておられました。会長を退いて全く畑違いの薬学に挑戦し、10年目にして薬学博士を授与されたとの記事です。

薬学への直接の動機は、前妻を白血病で亡くし、後妻もくも膜下出血で倒れたため、両妻の仇打ちとして、良薬を求めてとのことです。しかし動機がどうであれ、私が格別に感心したのは82才という高齢と、元神戸製鋼所なる大企業の会長であったこと、さらに全く畑違いの薬学を志し博士号まで取得されたということです。82才というと、普通は死をも意識し、早い人はボケも始まる男の終期の入り口です。元気な人は悠々自適、孫と楽しい時間を持ち、世界旅行に、トレッキングやらに明け暮れる時期です。元神戸製鋼会長であれば、普通に考えればユッタリト余生を送られてもいい年齢です。

亀高さんは会長辞任後、北里大学の大学院を聴講生として講義を聴き、やがて研究員となり、学生と一緒に研究に没頭したとのことです。神戸製鋼所の会長まで務めあげられた82才の経済人が、何と最初は聴講生として、次に一介の研究員として、学生たちと肩を並べで研究を続けたその熱意に、なんとも言えぬ驚愕を私は覚えたわけです。その人が我々先輩であったわけです。

我々60〜70才台は、亀高さんからみればいわば鼻たれ小僧です。この記事は、我々60〜70台に対する警鐘ではないか。私にはそう読めたわけです。「定年だからと言って、何をのんびりしておるか。生涯学習だ。やることは山ほどあるぞ。今からでも論文の1つや2つはものにせんか〃」と、亀高さんはわれわれを痛烈に皮肉っておるのではないか?
私にはそんな様に思えました。「いつまでも高木がどうだの、ボリビアの怨念がどうだの、何と次元の低い話に明け暮れておるのか?」と、暗に仄めかしておるようにも感じました。
私も、今回の記事で、私の怠惰と惰性に流れる生活に強烈なアッパーカットを喰らいました。

最近では特に感心させられた記事ではありました。もし、記事を見ておられなければ是非とも一読下さい。


河本卓生   2008/7/23